有名人にも出身者が多いシュタイナー教育についてご紹介します。
みなさんは「シュタイナー教育」をご存知ですか?
あまり聞き慣れない人も多いと思いますが、実は有名人に出身者が多く、世界中で広がりを見せている話題の教育の一つです。
今回はシュタイナー教育の出身者である有名人や、シュタイナー教育の基本についてご紹介したいと思います。
子供の進学を考える際に参考にしてみて下さい。
目次
有名人も受けているシュタイナー教育って何?
シュタイナー教育の始まりや考え方についてチェックしてみましょう。
シュタイナー教育(ヴァルドルフ教育)というのは、オーストリア人哲学者のルドルフ・シュタイナー博士が提唱した教育法で、「自由な自己決定ができる子供」を育てることを目標としています。
一般的な学校の授業内容とは異なり、「人智学」が基礎としたオリジナルの芸術教育カリキュラムが組まれているのが特徴です。
シュタイナー教育では、テストや通知表の点数評価はなく、子供に実際に多くの体験をさせて「感性」を磨きあげることを重視しているため、ペーパーテストや通知表で子供を評価したりしません。
そのため、シュタイナー教育は「子供の個性」や「芸術性」を伸ばしたいと考えている家庭にとっては、非常に魅力的な環境です。
ただし、シュタイナー教育は、一部で批判的な声も聞かれます。
というのも、シュタイナー教育が基礎としている「人智学」にはオカルト的な要素があり、シュタイナー教育自体も他の学校に比べて異質なため、「カルト的」に見られる場合もあるのです。
中でも、「幼少時にはCDやテレビを使用しない」「幼稚園はピンク色のカーテンで装飾された独特な雰囲気がある」などはシュタイナー教育でよくある共通点で、一般的な学校で育った人にとっては「変わっている」と感じられてしまう部分でしょう。
こうしたシュタイナー教育の独自路線が色濃く子供に反映されると、シュタイナー教育以外の学校だった人たちと交流をする時に、大きな違和感となってしまい、なかなか心を打ち解けられない原因になる場合もあるようです。
シュタイナー学校は、その独特な指導方針をよく理解して入学することが非常に重要と言えます。
親が「入らせたい!」という気持ちだけではなく、子供にも意見を聞いてみることが大切です。
各シュタイナー学校では「体験講座」や「体験授業」などをよく開催しているため、資料を取り寄せて読むだけではなく、しっかり現場の雰囲気などを確かめに足を運んでみましょう。
シュタイナー教育の学校生活の特徴
シュタイナー教育にどのような特徴があるのかまとめてみました。
シュタイナー教育を採用している幼稚園は、日本では現在50園以上あると言われています。
そして、シュタイナー教育の正規校として認定されているのは下記の7校であり、小学校から高校まで一貫教育している学校は全国で5校です。(2019年11月時点)
・学校法人シュタイナー学園(神奈川)※小~高校一貫教育
・NPO法人東京賢治シュタイナー学校(東京)※小~高校一貫教育
・NPO法人愛知シュタイナー学園(愛知県日進市)※小~高校一貫教育
・NPO法人京田辺シュタイナー学校(京都府)※小~高校一貫教育
・福岡シュタイナー学園(福岡)※小~高校一貫教育
・NPO法人横浜シュタイナー学園(神奈川)※小・中学まで
・学校法人北海道シュタイナー学園(北海道)※小・中学まで
シュタイナー教育の正規校は関東に多く、住んでいる地域によっては通学するのが難しい場合もあるでしょう。
シュタイナー教育には「12年間一貫教育+8年生までの担任制」という特色があります。
シュタイナー教育では教育期間を7年ごとに「3つの期間」に分け、それぞれの時期で必要となる教育を行うのが特徴です。
■第一七年期:0~7歳で「体」と「意志」を育む時期
■第二七年期:7~14歳で「心」と「感情」を育む時期
■第三七年期:14~21歳で「頭」と「思考」を育む時期
シュタイナー教育は、「体」「心」「頭」をバランスよく伸ばすだけではなく、「体→心→頭」の順番で育てることを重視しています。
また、シュタイナー教育では、「一時間は国語、二時間目は算数…」というようなバランス型の時間割ではなく、一科目だけを数週間連続して勉強する「エポック授業」も特徴的。
小学校の上級生になるまでは教科書を使用せず、授業の体験を通じてメモを取ったりする「エポックノート」を使います。
一般の学校では見られない「オイリュトミー」と呼ばれる表現芸術を学ぶ必修科目があるのもシュタイナー教育ならではの醍醐味です。
また、シュタイナー学校では、1年生から英語、小学校の高学年からは第二外国語を学ぶ傾向があるので、語学学習に興味がある人には相性が良いかもしれません。
シュタイナー教育を受けたことがある有名人
シュタイナー教育を受けたことがある有名人をピックアップしました。
では、シュタイナー教育を受けたことがある有名人には、どのような人がいるのか早速チェックしてみましょう。
【国内】
・斎藤工さん
・村上虹郎さん
・黒柳徹子さん
【海外】
・ミヒャエル・エンデさん
・サンドラ・ブロックさん
・ジェニファー・アニストンさん
学力よりも「感性」を重視するシュタイナー教育では、難関校の受験には不向きなため、お受験を重視している家庭には、あまり向かないかもしれません。
今回シュタイナー教育を受けたことがある有名人としてご紹介した6名の中で、実際に大学まで進学をしたことがあるのはサンドラ・ブロックさんだけです。(黒柳徹子さんは、現在の東京音楽大学の前身「東洋音楽学校」の出身ですが、当時は正式な四年制大学ではないためカウントに含めていません。)
そのサンドラ・ブロックさんもイーストカロライナ大学を中退しており、後にニューヨークの名門俳優養成学校「ネイバーフッド・プレイハウス」で演劇を学んでいます。
作家として有名なミヒャエル・エンデさんも「Otto Falckenberg School of the Performing Arts」というドイツ・ミュンヘンにある俳優や監督の高等教育アカデミーに在籍していましたが、大学には進学しなかったようです。
学歴を重視する家庭では、大学進学だけを基準に考えてしまうと、一見シュタイナー教育に良いイメージを持てないかもしれません。
しかし、シュタイナー教育を受けた有名人は、卒業後に「感性」を重視して、学歴や偏差値にこだわりをもたず「専門性の高い分野」へ進んだ結果、才能を開花させ成功している人が多いです。
シュタイナー教育では、本人がやりたいことを見つけて、それに邁進する傾向が見られます。
いかに難関大学を突破しても、本人に「夢」や「やりたいこと」がなければ、せっかく苦労して手に入れた学歴も最大限にフル活用できず、就職で失敗するケースも少なくありません。
長い目で見た時に、子供自身の考える力を伸ばすシュタイナー教育は、子供の自立を大いに助けてくれるでしょう。
シュタイナー教育に合う子供&合わない子供
シュタイナー教育が合うのはどのような子供かチェックしてみましょう。
テストや通知表で点数査定をせず、教科書を使わない独特のシュタイナー教育は、万人受けする教育方法とは言えないかもしれません。
シュタイナー教育は、「合う子供」と「合わない子供」がはっきり分かれてしまう可能性が高いため、子供の性格を慎重に見極めながら、入学を検討しましょう。
特にシュタイナー教育が合わない可能性があるのは以下の通りです。
シュタイナー教育が合わない可能性のある子供
・難関校の受験を希望している子
シュタイナー教育では、ペーパーテストを点数化せず、「学力」をあまり重視した指導を行っていないので、難関校の受験を希望している子にとっては、学校だけの勉強で受験を乗り切ることは大変難しい状況です。
もしも難関校の受験を希望するのであれば、塾通いが必須となります。
また、塾通いになっても、偏差値やテストの点数を重視する塾と、学力を重視しないシュタイナー学校との「温度差」に板挟みになってしまい、子供が苦しむ可能性もあるでしょう。
特に幼少期は、本人が関心を示さないかぎり、先生の方から積極的に文字の読み書きを指導することがないため、小学校に入学をしてから文字の読み書きで苦労したという話はシュタイナー教育ではよく聞かれます。
早期幼児教育で、早くから学力をつけさせたいと考えている家庭だと、シュタイナー教育の方針と異なるため、子供を学校に通わせているうちに不満を強く抱く可能性が出て来るでしょう。
・人と変わっていることを嫌う子
シュタイナー学校の卒業生は、独特なシュタイナー教育の影響によって、卒業して一般社会に出てから「浮世離れした人」や「変わった人」と思われてしまうこともよくあります。
これらは個性なのですが、「個性を良し」と思えない場合や環境では苦しむこともあるかもしれません。
一般の学校とは違う幼少期を過ごしてきたことで、シュタイナー学校以外の人達と交流する時に、これまでの常識が通用しない場面に出会うでしょう。
その度に、「自分が他人とちょっと違う」とコンプレックスを感じてしまうようになってしまう人も少なくありません。
そのため、子供が個性よりも「協調性」を重視するような性格の場合は、シュタイナー学校を卒業してから人間関係で苦労してしまい、後で後悔する可能性があります。
シュタイナー教育が合う可能性の高い子供
・体験学習が好きな子
シュタイナー学校では、子供の感性や個性を大事にした教育が行われているため、「お勉強しなさい!」という雰囲気が一般的な学校よりも弱く、子供がのびのびと過ごしやすい環境が整っています。
そのため、教科書通りの授業が嫌いな子や、体験学習が好きな子にとっては、シュタイナー教育は居心地が良く感じられる可能性があります。
テストの点数で学力を測ることより、「体験」を重視した学習方法で実際に子供に多くのことを学んでもらいたいと思っている家庭と相性が良いでしょう。
・芸術分野に興味や関心がある子
シュタイナー学校では、一般的な学校ではあまり見られない「にじみ絵」や表現学習の「オイリュトミー」など、芸術に触れる機会が非常に多くあります。
実際、シュタイナー学校を卒業した有名人の中には、芸術的なセンスを磨き、タレントや俳優として芸能界で活躍する人も多数見られます。
そのため、シュタイナー学校に入学をするのであれば、美術や芸術に関する授業が多いので芸術分野に高い関心を持っている子供の方がより楽しめるでしょう。
小さい頃から、お絵かきや体を動かすことに興味がある子供にはピッタリです。